|LegalBuddy Blog
景品表示法違反(ステルスマーケティング)のリスクと対策
2023年10月より、景品表示法の禁止行為に「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」、いわゆる「ステルスマーケティング(ステマ)」が指定されました。 これにより、広告であることを隠して商品を宣伝する行為は、法的に明確な違反となりました。
2025年現在、消費者庁による摘発事例も出てきており、企業(広告主)側の管理責任が厳しく問われています。
規制の対象となる「ステマ」とは?
以下の2つの要件を満たすものが規制対象です。
- 事業者が自己の供給する商品・役務の取引について行う表示であること
- 企業が広告主に依頼して投稿させる場合など。
- 一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であること
- 「広告」「PR」「プロモーション」といった表記がない、または分かりにくい場合。
注意: 規制されるのは「広告主(企業)」であり、投稿したインフルエンサーではありません。しかし、インフルエンサー側も信用を失うため、双方が注意する必要があります。
「事業者の表示」とみなされる基準
ポイントは、「事業者が表示内容の決定に関与しているか(コントロールしているか)」です。
規制対象になるケース(黒)
- 企業がインフルエンサーに金銭を支払い、「この商品を褒めて紹介してください」と依頼した場合。
- 金銭の支払いがなくても、「商品を無償提供する代わりに、SNSに投稿することを条件とする」場合(ギフティング)。
- アフィリエイト広告で、広告主がアフィリエイターの記事内容をチェック・修正指示している場合。
規制対象にならないケース(白)
- 消費者が自主的に「この商品よかった!」と投稿する場合(第三者の感想)。
- 商品を無償提供したが、投稿するかどうか、どんな内容を書くかは完全にインフルエンサーの自由である場合(ただし、関係性の明示が推奨されます)。
具体的な対策:関係性の明示
ステマにならないためには、広告であることを消費者に分かるように表示する必要があります。
SNS(Instagram, TikTok, Xなど)
- 投稿の冒頭や画像内の目立つ場所に 「#PR」「#広告」「#プロモーション」 と記載する。
- 「#メーカー名」や「#商品名」だけでは不十分です。
- 動画の場合は、動画内で視認できる時間・大きさで表示する。
- プラットフォームが提供する「タイアップ投稿ラベル」機能を使用する。
動画配信・ライブコマース
- 動画のタイトルやサムネイルに「PR」と入れる。
- 配信中に口頭で「これは提供を受けて紹介しています」と説明する。
企業が整備すべき体制
- ガイドラインの策定: インフルエンサー起用時のルールを社内で統一する。
- 契約書への明記: 業務委託契約書に「景品表示法を遵守すること」「PR表記を行うこと」を明記し、違反した場合の解除・賠償条項を入れる。
- 投稿後のチェック: 依頼した投稿がガイドライン通りに行われているか、担当者が目視で確認する。
まとめ
「バレなければいい」という時代は終わりました。消費者はステマに対して非常に敏感であり、一度炎上すればブランドイメージは回復不能なダメージを受けます。 「正直なマーケティング」こそが、長期的なブランド価値を高める唯一の道です。
