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秘密保持契約(NDA)で絶対にチェックすべき5つのポイント

新規取引や共同開発、M&Aの検討など、ビジネスのあらゆる場面で最初に結ぶのが秘密保持契約(NDA: Non-Disclosure Agreement)です。「とりあえず定型文で結んでおけばいいだろう」と安易にサインしていませんか? 実はNDAには、企業の将来を左右しかねない重要なリスクが潜んでいます。

本記事では、NDAをレビューする際に必ずチェックすべき5つのポイントを、具体的な条文例や修正パターンを交えて詳しく解説します。

1. 「秘密情報」の定義:範囲は適切か?

NDAの核となるのが「何を守るべきか(何が秘密情報か)」の定義です。ここが曖昧だと、守られるべき情報が漏れたり、逆に不必要な管理コストが発生したりします。

開示側(情報を渡す側)の視点

自社の情報は広く保護されたいため、包括的な定義を好みます。

【修正前】(受領側に有利) 「秘密情報」とは、本契約に基づき開示者が受領者に対し開示する情報のうち、書面により秘密である旨が明示されたものに限る。

これだと、口頭で伝えた情報や、会議で見せただけの画面などは保護されません。 修正ポイント: 「口頭で開示した情報についても、開示後○日以内に書面で通知した場合は秘密情報に含む」といった文言を追加すべきです。

受領側(情報を受け取る側)の視点

管理対象が広すぎるとリスクになるため、限定的な定義を好みます。

【修正前】(開示側に有利) 「秘密情報」とは、本契約に関連して受領者が知り得た一切の情報をいう。

これでは、ランチで話した世間話まで管理義務が生じかねません。 修正ポイント: 「秘密である旨が明示されたもの」に限定するよう交渉すべきです。

2. 秘密保持義務の期間:いつまで守るのか?

「契約終了後も永久に秘密を守れ」というのは、技術情報などの一部の例外を除き、受領側にとって過度な負担です。

一般的な期間設定

通常は、契約終了後 3年〜5年 程度とするのが一般的です。情報の陳腐化(古くなって価値がなくなること)を考慮するためです。

例外の設定

個人情報や、極めて重要なノウハウ(トレードシークレット)については、「性質上秘密が保持されるべき期間」や「永久」とするケースもあります。

【条文例】 第○条(期間) 本契約の有効期間は締結日から1年間とする。ただし、第○条(秘密保持義務)の規定は、本契約終了後3年間有効に存続するものとする。

3. 使用目的の限定:目的外使用の禁止

開示した情報が、本来の目的以外に使われないように明記することは極めて重要です。

【条文例】 受領者は、秘密情報を、本取引の検討および実施の目的(以下「本目的」という)以外に使用してはならない。

これが抜けていると、例えば「協業の検討」のために渡した顧客リストを、相手方が勝手に自社の営業に使ってしまう…といった「情報の流用」を防げません。 特に競合他社とNDAを結ぶ場合は、この条項が生命線となります。「リバースエンジニアリングの禁止」なども合わせて規定しておくと安心です。

4. 例外規定(公知情報など)

どれだけ厳密に秘密情報を定義しても、以下の情報は秘密保持義務の対象から外す(例外とする)のが通例です。これがないと、すでに新聞に載っているような話をするだけでも契約違反になりかねません。

  1. 開示された時点で、すでに公知であった情報(公知の事実)
  2. 開示された後、受領者の責めによらずして公知となった情報
  3. 開示される前から、受領者が正当に保有していた情報
  4. 正当な権限を有する第三者から、秘密保持義務を負わずに適法に入手した情報
  5. 開示された情報によらず、独自に開発した情報

この「5つの例外(適用除外)」が条文に正しく含まれているか、必ず確認しましょう。

5. 損害賠償の範囲と差止請求

万が一情報漏洩が起きた場合、どう責任を取るのかについても合意しておく必要があります。

損害賠償

【条文例】 甲または乙は、本契約に違反して相手方に損害を与えた場合、その損害を賠償しなければならない。

受領側としては、「通常生ずべき損害に限る(特別損害は除く)」や「本取引の対価を上限とする」といった賠償額の上限設定(キャップ)を設けるよう交渉することが多いです。 逆に開示側は、情報漏洩による損害は青天井になる可能性があるため、上限撤廃を求めます。ここは交渉の最重要ポイントの一つです。

差止請求

情報漏洩は「お金を払って解決」できない場合が多いです(一度流出した情報は回収できないため)。 そのため、漏洩の恐れがある場合に、その行為を直ちに止めさせる「差止請求権」を明記しておくことが重要です。

まとめ

NDAは、ビジネスにおける信頼関係の第一歩です。 「相手を信用していないから厳しくする」のではなく、「お互いが安心して情報を出し合い、建設的な議論をする」ために適切なルールを決めるものです。

LegalBuddyを使えば、AIがこれらのポイントを自動でチェックし、不利な条項や欠落している条項を即座に指摘してくれます。契約交渉を有利に進めるための強力なパートナーとして、ぜひ活用してください。

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