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フリーランス必見!業務委託契約書のトラブル回避術

フリーランスとして働く上で、スキルや営業力と同じくらい重要なのが「契約知識」です。 「口約束で仕事を始めたら報酬が払われなかった」「修正依頼がエンドレスに来て時給換算すると数百円…」といったトラブルは、残念ながら日常茶飯事です。

自分を守る最大の盾となるのが「契約書」です。クライアントから提示された契約書をそのままハンコを押すのではなく、自分の身を守るためにチェックすべきポイントを、具体的なシチュエーションと共に解説します。

1. 業務内容と範囲(スコープ)の明確化

最もトラブルが多いのが、「どこまでやるか」の認識齟齬です。 「Webサイト制作一式」といった曖昧な記述は危険です。

【悪い例】 業務内容:Webサイト制作業務

これでは、「デザイン案は何パターン出すのか?」「スマホ対応は含むのか?」「文章作成もやるのか?」「公開後の修正は?」などが一切不明です。クライアントは「全部やってくれる」と思い込み、あなたは「それは別料金」と思い込む…これがトラブルの元です。

対策:

  • 具体的タスクの列挙: 「トップページデザイン(修正2回まで)」「コーディング(レスポンシブ対応含む)」など詳細に書く。
  • 含まれないものの明記: 「※サーバー・ドメイン取得費用は含みません」「※原稿作成は貴社にてお願いします」と、やらないことを書くのも有効です。

2. 報酬と支払条件:お金の話は最初にクリアに

支払時期と方法

「月末締め翌月末払い」が一般的ですが、中には「翌々月末(60日サイト)」など支払いが遅い企業もあります。キャッシュフローが悪化しないか確認しましょう。下請法が適用される取引であれば、原則として60日以内の支払いが義務付けられています。

着手金の設定

高額な案件や長期プロジェクトの場合、途中で頓挫するリスクがあります。「着手時に50%、納品時に50%」といった分割払いを交渉するのも有効な自衛手段です。

消費税と源泉所得税

金額が「税抜」か「税込」か。また、源泉徴収税額を差し引いて振り込まれるのかどうか。請求書発行時のトラブルを防ぐため、契約書で明確にしておきましょう。

3. 再委託の可否

あなたが忙しくなった時、知り合いのフリーランスに手伝ってもらうことは可能でしょうか? 多くの契約書では「再委託禁止(事前の承諾が必要)」となっています。チームで動く可能性がある場合は、「再委託を認める」条項に変えてもらうか、事前に承諾を得やすいフローを確認しておきましょう。

4. 権利の帰属(著作権):納品物は誰のもの?

クリエイティブ職にとって最重要項目です。 原則として著作権は「作った人(あなた)」に発生します。しかし、業務委託契約では「納品と同時にクライアントに譲渡する」という条項が入っていることがほとんどです。

【注意すべき条文】 成果物の著作権(著作権法第27条および第28条の権利を含む)は、検収完了と同時に甲(クライアント)に移転する。

これに合意すると、あなたは自分の作品をポートフォリオに載せたり、別の案件で流用したりする権利を失う可能性があります。

対策:

  • ポートフォリオ利用の許諾: 「ただし、乙は自身の制作実績として本成果物を公開することができる」という一文を追加してもらう。
  • 汎用的なパーツの権利: プログラムのコードやデザインのテンプレートなど、他でも使う汎用的な素材については権利を留保する。

また、「著作者人格権を行使しない」という特約にも注意が必要です。これにサインすると、勝手に作品を改変されても文句が言えなくなります。

5. 契約不適合責任(瑕疵担保責任)

納品後にバグやミスが見つかった場合、いつまで無償で直す義務があるかです。 民法改正により「契約不適合責任」という名称になりました。

クライアント側は「1年間」などの長期間を求めてくることがありますが、IT業界など変化の早い業界ではリスクが高いです。 「検収完了後3ヶ月以内」や「故意または重過失がある場合に限る」など、常識的な範囲に限定するよう交渉しましょう。

6. 契約解除と損害賠償

プロジェクトが途中で中止になった場合、すでに作業した分の報酬はどうなるのか? 「甲の都合による解約の場合は、既履行部分の報酬全額に加え、解約手数料として契約金額の○%を支払う」といった条項を入れておくと安心です。

また、損害賠償の上限を「本契約の報酬額」に設定することも、個人のフリーランスが巨額の賠償リスクを避けるために必須です。

まとめ

契約書は「相手と戦うための道具」ではなく、「気持ちよく仕事をして、確実に報酬を受け取るためのルールブック」です。 難しい法律用語にひるまず、一つ一つの条項の意味を理解して契約に臨みましょう。

LegalBuddyでは、フリーランス向けの契約書テンプレートや、AIによる契約書チェック機能を提供しています。不安な点があれば、プロ(やAI)の力を借りることをお勧めします。

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