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英文契約書の読み方入門:初心者が躓くポイントと頻出用語集

「英語は多少読めるけど、英文契約書になると頭に入ってこない…」 そう感じる方は多いはずです。英文契約書には独特の言い回しや、英米法(コモン・ロー)に基づいた特有の概念があるため、日常英会話のスキルだけでは太刀打ちできません。

しかし、恐れる必要はありません。契約書の構造(パターン)と、いくつかのキーワードさえ押さえれば、要点を掴むことは十分に可能です。

1. 日本の契約書との決定的な違い

「性善説」vs「性悪説」

日本の契約書は「詳細は協議して決める(誠実協議条項)」として、あえて曖昧さを残すことがあります。 一方、英文契約書は「書かれていないことは合意していない」という考え方が基本です。そのため、あらゆる事態を想定して非常に長く、詳細に記述されます。

約因(Consideration)

英米法の契約成立要件の一つに「約因」があります。「対価」のような意味で、双方が何か(金銭、物品、サービス、権利放棄など)を提供し合う必要があります。「一方だけが得をする約束」は、原則として契約として法的拘束力を持ちません。 契約書の冒頭に "In consideration of the mutual premises..." (相互の前提条件を約因として…)という定型句があるのはこのためです。

2. 英文契約書の基本構造

多くの契約書は以下の構成になっています。

  1. Title(表題): AGREEMENT, MEMORANDUM OF UNDERSTANDING (MOU) など。
  2. Preamble(前文): 当事者(Parties)と締結日(Effective Date)。
  3. Recitals(頭書): WHEREAS で始まる文章。契約に至った背景や目的。法的拘束力はないとされることが多い。
  4. Definitions(定義): 大文字で始まる用語(Defined Terms)の意味を定義。
  5. Operative Provisions(本文): 権利義務、表明保証、契約期間、解除条件など。
  6. General Provisions(一般条項): 準拠法、紛争解決、完全合意など。
  7. Signature(署名): 末尾にサイン。

3. これだけは覚えたい頻出用語(Legal Jargon)

ここ(Here)+ 前置詞

古めかしい言い回しですが、契約書では多用されます。

  • Herein: In this Agreement(本契約において)
  • Hereof: Of this Agreement(本契約の)
  • Hereto: To this Agreement(本契約への)
  • Hereunder: Under this Agreement(本契約に基づく)

義務と権利の助動詞

  • Shall: 〜するものとする(法的義務)。最重要単語です。
  • May: 〜することができる(権利・裁量)。
  • Will: 〜するだろう(未来の事実、または義務)。最近はShallの代わりにWillを使うスタイル(Plain English)も増えています。

重要概念

  • Indemnification(補償・免責): 相手方に損害を与えた場合に、その損害を補償すること。"Indemnify and hold harmless" (補償し、損害を与えない)というフレーズがセットで使われます。最も揉める条項の一つです。
  • Warranty(保証): 商品の品質や権利関係についての保証。
  • Force Majeure(不可抗力): 地震、戦争、パンデミックなど、誰の責任でもない理由で契約履行できなくなった場合の免責規定。
  • Governing Law(準拠法): どこの国の法律に従うか。
  • Jurisdiction(裁判管轄): どこの裁判所で争うか。

4. 読み解くためのコツ

主語と動詞を見つける

英文契約書の一文は非常に長くなりがちです(1ページで一文など)。修飾語句(ただし書きや条件節)を一旦無視して、「誰が(Subject)」「何をしなければならないか(Verb)」の骨組みだけを抜き出すと理解しやすくなります。

定義語(Definitions)に戻る

大文字の単語(例:the Product)が出てきたら、それは一般的な「製品」ではなく、契約書内で定義された「特定の製品」を指します。必ず定義条項に戻って確認しましょう。

まとめ

英文契約書は「習うより慣れろ」です。LegalBuddyのようなAIツールを使えば、難解な英文契約書の翻訳だけでなく、リスク条項の指摘や日本法との違いについての解説も受けられます。AIを補助輪として使いながら、少しずつ読み解く力をつけていきましょう。

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